逃げ込む場所はやっぱり女だった?

平凡な庶民で何者でもない自分にはサラリーパーソンとしての毎日をやり過ごすだけで大変だった。そもそも人と話すのが、しんどいのだから尚更だ。会社で上司や先輩から鍛えられというか、イジメを受けたという思いの方が強い。常に冷や汗をかいていた。良く定年まで働いたと思う。信じられない感じである。それだけに女性と過ごす時間は、バーやスナックのアルバイトの女性やそして銀座のオーナーママが相手でも分不相応にのめり込んできた。そして酔うと皆綺麗に見えて、いつのまにか必死に口説いていた。仕事もそのくらい必死にやれば違う人生もあったのかもしれない。大体は相手にされなかったが、たまに出会い頭のような出会いがあり、気づいたら女性の家にいたなんて事が一度だけでなくあった。そしてそういう時間だけが、安寧の時であり、そんな時間を守ろうと必死に相手の女性に合わせて演技をして来た。お嬢さんとの見合い結婚から離婚する迄もそんな空間と時間に逃げ込んで、自分を支えて来たような気がする。相当にゲスな人間である。品性も品格のかけらもない。風俗は病気が怖いだけの話で病気がなければ通い詰めていた筈だ。こういう小心な男でもあるのだ。こんな酷い男が、老境に入り、恋をしたなどと称して、真面目に彼女だけを見て思って時間を過ごしているなんて笑止千万と言われるだろうと思う。だけど、そうなっちゃったんだから仕方がない。何なのだろうと自分でも思いながら初恋の少年のようである。彼女には本当に迷惑な話だと思う。しかしながら、はっきり拒絶されるまでは止まりそうもない。彼女の気持ちはまだ見えない。同情だけなのか、いやだけなのだろうと思う。それが確かなところだ。それでも胸が苦しい毎日である。

f:id:yukizokun1992:20200214020913j:plain