シンガポールの彼女!

そう言えば、シンガポールに駐在して間もなく当時は商品先物ポジション管理のシステム販売の営業をやっていたあの娘が売り込みに来た。当時は48歳、子会社の社長でまだ将来があると意気軒昂であった。一目惚れだった。結局システムそのものは、冷静に部下の専門家の判断に任せて他社に発注したが、結局彼女がシンガポール時代の唯一の想い人になった。人生大陸系中国人は彼女以外は知らない。今は同じ中国系シンガポール人と結婚しているが、結婚式に招かれ、相手の男におめでとうと握手した時は、いささか、いや正直に言えばかなり淋しい思いをしたものだ。あの頃、事務所近くの現地会社の社長だけが入会できるプライベートクラブで彼女と昼に良く食事をした。今なら公私混同でコンプライアンス違反だろう。夜は彼女の案内でデートしながら、時々由緒ある高級ホテルで週末をともに過ごした。結局彼女は自分が日本に帰任する頃にニュース配給会社に転職し、日本支社にも出張に来るようになったが、仕事を取ったというか華僑一族から反対があったんだろうが、自分との縁はなかった、要はプロポーズは受けてもらえなかった。自分はいつもマジになって玉砕する人生なのだ。ただやる事はやったので後悔はないし、彼女とは今は友人である。シンガポールは小さな国だが、周辺地域への出張も多かった、ただ空港に着陸してから30分もあればコンドミニアムの自分の部屋に着くので誠に便利というか効率の良い国だった。日本料理店も多く、カラオケ店も選り取りみどりで出張者も皆夜を楽しみにしていた。その出張者の中で会社で兄貴と今も自分を慕う彼が、京都系おばんざい屋でアルバイトする女性スタッフに惚れた。毎回出張のたびにダシに使われ、食事に行ったのだが、そこの京都出身の女店主からなぜかいつも熱い視線を受けていた。自分の思い過ごしではなかった。告白を受けたからだ。当時は華僑一族の彼女とラブラブだったから浮気はせずに断ったのだが。こんな自分でも付き合っている時は一途であり、浮気はしないのだ、でもいつも何かが起こるというか、サラリーパーソンの宿命である異動人事で場所が移動することで、終わってしまう。プロポーズして玉砕したり、結婚を迫られて重くなって逃げ出したりと、いろいろだったが、気がつくといつも一人になっている。海外営業のサラリーパーソンの日本と海外の行ったり来たりが、本当に良かったのかは、こうして考えて見ると微妙な感じだ。多くの女性と知り合ったが、今は一人で、新たな恋に悶々としているのだから。いい加減落ち着きたくなっているが、多分死ぬまで女性遍歴が続くと思う。自分は病気なのだ、人は関係なく自分の思いでいつも突き抜けてしまう。パリ、アルジェ、シンガポール、ロンドン、イスタンブールに駐在、北京、ニューヨーク、リオデジャネイロ、パース、ホーチミンバンコクカサブランカダカール、ミラノ、マドリード、モスクワ、バンクーバーには良く出張し、出会いもあった。サラリーパーソンとして出世はしなかったが、まだサラリーパーソン人生は続いている。ここ歴史の宝庫であるイスタンブールではどんな物語になるのか、自分でも楽しみにしてみたい。

f:id:yukizokun1992:20200223174318j:plain