久しぶりの銀座

定年後は銀座からも遠ざかっているが、浮き世の義理もあり、たまには顔を出さざる得ないことが今もある。オーナーママと一見さん御断りの料理屋で食事をしてから、同伴する。銀座では余程の成金でない限り、ワインというわけにはいかず、自分などはコニャックを飲む。お菓子で飾ったツマミには勿論手は付けない。銀座ではこざっぱりしたスーツに身を包み、何事も綺麗に振る舞わなければならない。靴は磨き上げ、靴底は一ミリたりとも減っていてはならない。しかし、こんな事は現役でないと出来ない。だからこそ銀座は遠くになりにけりなのだ。そして世界で出くわした四方山事を語り、日頃のストレスを晴らすべく非日常空間で美しく聡明な女性と共に過ごす。アルバイトの学生さんやOLは已む無いが、ホステスはプロであり、身形、化粧、会話がイケていないと次の機会はない、ママに自分などは言うからだ。大概は女性の名刺はゴミ箱行きだ。銀座と言えども、早々気に入る女性はいない。気に入ると入れ込むので当然払うものは払う。数百万円では済まない散財となる事もあった。ママとの食事を含めて予算は一晩で20〜30万円となる。いろいろなレベルの店があり、自分も数万円の店では偉そうな事は一切言わない。これが現役時代の生活だった。たまにはアフターと言われる店外デートで意図しない間違いも起こるが、プロとはその後も何事もなかったかのようになるが、アルバイトの学生やOLとなると話は違って来て大変な目にあったこともあるし、ただの足長おじさんになって大学を卒業させたこともある。長い会社人生いろいろあった。脂の乗り切った50代前半が、金も地位もあって華だった、そういう時を思い切り楽しむ事だ。自分も楽しんだ。今はもう貧乏な非正規の年寄りであり、昔を懐かしみ年に数回大人しく飲んで帰るだけだ。

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