イスラムなるもの

宗教的熱狂の虜になったイスラムの過激派の代表ISというような乱暴者戦闘集団には未来はないし、石油文明に乗っかっているだけの絶対部族王政にも将来はない。イスラムの中にも欧米文明の先進性を謙虚に認め、それを吸収することが、嘗て世界をリードしたアラビア文明の栄光を取り戻す道だと理解しているリーダーがいると信じたい。十字軍以来の異教徒との戦いとその積年の怨み辛みにとらわれずアラブの栄光を取り戻すには異教徒、即ちキリスト教徒の先進性を吸収消化しようとする知性こそがイスラム復権の鍵になるだろう。11世紀の偉大なる宗教家アルカザーリーの出現で当時ギリシャ科学の合理的遺産を受け継いで開花しようとしていたイスラム科学に蓋をするイスラム正統神学を復権させ、イスラム神秘主義を再生しイスラムに芽生えていた合理主義思想を封印するきっかけを作ってしまったのが、アルカザーリーなのである。同時に経済的にも陸を支配し、東西貿易を独占することで栄えて来た経済基盤が、海に乗りだした西欧に取って変わられ、その西欧が新たな富と知識を蓄積し、大航海時代を出現させ、更には軍事力を軒並み強化していくことで経済的な主導権をやがて世界的に確立していくことになったわけだ。ここにイスラム世界が原典たるコーランハディースにひたすらに回帰していくと同時に経済的に凋落していく転換点があったわけである。従い、西欧が支配する近代の中で発見され、莫大な富を産んだ石油をあってしても、経済的な基盤が失われていた為に産業を生み出す力はなかったのである。欧米は荒くれ者集団たる有力な部族を割拠させ、勝手に国境線を引いて荒くれ者の部族長を王に据えて石油収入で贅沢をさせながら、実質的に支配しているわけである。何故資源エネルギーが米ドルで決済されるのか考えて欲しい。イスラムは移民による草を送り込むことでテロを仕掛け、逆襲に打って出ているが、力不足である。世界が帝国化に向かうのか、グローバル化が勝利するのか、イスラム帝国が勝利するには産業が必要であり、鍵を握るのが、エルドアン率いるトルコだろう。
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