イブはお一人様

今年のイブも昨年に続きお休みだが、昼からオールドインペリアルバーで飲んでいる。仕事の方は土曜日に帰国して年内は任務完了。年末は温泉に浸かるにしてもまだ24日にて少し早い。ロビーは家族連れを中心に賑わっている。ホテルとしては稼ぎ時で毎晩ディナーショーで裕福な家族をもてなすわけだ。日比谷公園ではクリスマスマーケットと銘打って若者を集めているが、その中身はただの屋台村だ、まあ日本なのでさもあらんであるが、寒空の下、庶民はソーセージでも食ってろと言わんがばかりだ。反対側の帝国ホテルでは暖かい部屋でのんびりとドンペリキャビアをつまみに楽しむ人々がいる。私自身はルイロデレールにチーズと分相応に楽しんだが少し贅沢をする。夕方、一人ロビーに下りると早慶グリー合唱団によるクリスマスソングの対抗戦が繰り広げられていた。ここには貧困とは無縁の世界がある。30分ばかりの合唱を楽しんだら、一人地下に降りて行き、寿司をつまみ、極上の冷酒に身を委ね、この一年の来し方を振り返る。至福の時である。そこに煩い子供や文句ばかり垂れる妻など居たら台無しである。若くて可愛いが、知的な会話など期待すら出来ない愛人もこのような場にはご遠慮願いたくなるはずだ。成金には侘びや寂びはわからんだろうが、まあ人それぞれである。家族が居た頃のイブを思い出すとゾッとする。人間は一人では生まれず、育つことは出来ないが、育ってしまえば生き方は人それぞれである。生まれ落ちた時から格差はあるが、自分の属する階級において居場所を確保しなければならない。特別な運や能力に恵まれない限り、それ以外の選択はないような気がする。イブの夜は心地よい酔いに任せて広いベッドで熟睡した。寝過ごして昼に中華の北京で疲れた胃袋に優しい汁そばを食してから会社に向かった。お一人様もたまには良いものだ。

f:id:yukizokun1992:20181226072049j:plain