出張から見える格差問題

営業担当のサラリーマンには出張が付き物だが、それも国際会議や業界の総会などとなると会場は一流ホテル、夜はパーティーに視察と称する観光付きと至れり尽くせりといった感がある。会社のお金で庶民の生活から毎年数回離れ、金持ちの生活を垣間見る訳だが、自分の財布を気にせず自由に生きる生活は正直羨ましい限りだ。今や嘱託サラリーマンだが、サラリーマン生活も長くなり、世界中の観光地に派遣された。庶民ではあるが、もう今更学生時代の貧乏旅行にはとても戻れず、さりとて個人で贅沢な海外旅行が出来るわけもなく、休暇は会員となっている国内レジャークラブの温泉に浸かるくらいがサラリーマンとしては関の山だ。それくらいなら財布を気にする必要がない。今年も出張で観光地というところではパリ、バルセロナ、ロンドン、シンガポール、ドバイ、アンタルヤに行った。サラリーマンながら長年出張を繰り返し見えるのは、グローバル化とは世界的な労働者階級の待遇平準化による企業競争力強化であり、その裏には徹底したコスト削減による株主優先の増配がある。先進資本主義国においては株主と労働者の格差が広がるという点は既にピケティ先生が指摘している通りだ。日本でもさらに格差が広がるだろう。最近何かと前澤さんが話題になる。庶民出から金持ちになるには自ら起業するしかないのだろうが、成功の確率はほとんどない。そう思うと自分自身今の境遇もやむを得ないが、口座残高を気にしつつキャシュフローを管理しながらの生活はやはりストレスになる。その上、庶民がいくら貯金しても老後は貧困に陥るから投資信託だ、不動産投資だと世の中は徹底的に不安を煽ってなけなしの貯金を奪おうとする。とにかくセールスの話は聞かないこと、旨みがあるなら他人に教えはしない。基本は手数料稼ぎだと思えば良い。相場を張る一か八かなら自己破産を覚悟でやってみても良い。ただ長くサラリーマンをやっているなら、プロを相手にまずは負けるだろうから止めた方が良い。たまには勝つ人はいるが、だからこそ話題になるわけで本人が後付けで何と言おうとまぐれ当たりに過ぎない。現在は産業革命により、庶民が奴隷から労働者に変わる過程で得たものが、奪われて行くプロセスが始まっていると見た方が良い。黙っていれば格差が広がるだけだが、声が上がる気配がないのは日本の良さなのか悪さなのか。もう少し考えてみたい。
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